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★正解があるのか今でもよくわからないけれど

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今日は、とあるツイートを見て思い出したことを書きました。
小学生だった当時から、今までずっと、どうすればよかったのか分からない、今でも思い出すと少し苦しくなる夏の日の話です。
特定の誰かを傷つける意図は一切ありませんが、エピソードの中には加害や衝動性の特性が(被害者側の視点で)書かれています。あらかじめご了承ください。


ある夏休み。
私の通う小学校では、校内のプールを生徒に開放している日が数日ありました。自由参加の2学年合同で開催されていたので、違うクラスの子もいたり特別学級に通っている子も一緒に水遊びをしていたり。私は心臓が弱かったせい体育の授業にはまともに出られなかったけど、自由時間のようなその日は、プールに入ることを許されていました。泳げないし何をしていたのかあまり覚えていないけど、クラスの友達と水に入ることが楽しくて、夏休みのプールの日が好きだったことは覚えています。



プールの時間が終わると、先に下級生が上がって着替え、そのあと時間差で上級生が更衣室に入って着替える決まりでした。多分、混雑を避けるためだったんだと思いますが、そこまで厳密に時間設定されているわけではなく、お着替えがゆっくりな下級生の子は、私たちが更衣室に入った時にも残って着替えていることがありました。

私もなかなかにおっとりしていた方なので、いつも最後の方まで更衣室に残っていたのですが、その日は私が着替え終わっても、まだ下級生の子が3~4人固まってなにやら話し込んでいるようでした。


「お願いだから離して?」


ひとりの女の子が、別の女の子のプールバッグを掴んで、引っ張っているように見えます。

バッグを取られそうになっている女の子は困り顔で負けじとバッグを掴み、周りの同級生の子が必死になだめています。

「ねえ、離そう?」

ケンカではなさそうだし、周りも力尽くで止めようとしているようにも見えない。


無言で同級生のバッグを引っ張っている、周りの子たちよりひと回りくらい小柄なその女の子は、普段は特別支援学級に通っている子でした。




私は『先生呼んでこようか?』と声をかけてみました。
だってみんな困っているし、申し訳ないけどたぶんこれは話し合って解決するものではないと思ったし、だから、とりあえず大人を呼んできた方がいいと思ったから。


その言葉に、彼女が何を思ったのか分からないけど、パッとこちらを向いて私と目が合いました

やばい、と思いました。


その先の細かな動作は覚えていなくて、ただ、気付いたら私はその子に髪の毛を引っ張られていました。

私の髪の毛は、肩につくくらいのセミロングだったと思います。


やめてとか、離してとか、何かを叫び続けた気がするけど、言葉になってなかったかもしれない。痛くて泣きじゃくっていた記憶はあります。
彼女は下級生の中でもとにかく小柄だったけど、どこにそんなパワーを溜めているのかと思うほど私の髪を掴む手はすごい力でした。
こちらが抵抗すればするほど、髪の毛を引っ張る力は強くなり、しゃがみ込んだ私は体ごと引きずられ、最終的にブチブチという音と共に引っ張られた毛束が抜け、私は解放されました。頭皮はしばらくジンジンとしていました。

泣きながらうっすらと視界に入る、無表情で私の髪を掴んでいる小さな女の子の姿はは本当に怖かった。そして、周りにいる子が誰も何もしないことはもっと怖かった。みんなもびっくりしたんだろうし、子どもたちには何もできなくて当たり前なのかもしれないけど、それならさっさと先生を呼んできてくれたらいいのに。

私はしばらく座り込んだまま泣いていて、彼女がどうしていたのかは見ていません。見たくもなかったし。
ただ、一言も彼女の声は聞かなかったと思います。喋ることができない子ではなかったはずですが。

少ししてやっと先生が来ました。見たことあるけどあまり接点のなかった、下級生クラスの女の先生でした。


遅いよ。
なにより、髪の毛が抜ける前に止めてほしかった。ずっと引っ張られていたのに。それとももしかしたら、私の体感として長かっただけで、一瞬のことだったのかもしれません。

その子はまだ近くにいたみたいで、先生に何か話しかけられていました。
「どうしたの?」とか「ごめんなさいは~?」とか、正確には覚えていませんが、やたら優しい口調だったと思います。

ふざけるな。と思いました。
どうしてそんな、赤ちゃんに話しかけるようなことしか言わないの?
何が起きたのかとか、原因は何なのかとか、その子が話せないなら周りで見ていた子に聞けばいいだろう。

だけど、私も何も話しませんでした。呆然となってしまって、ただ、誰も助けてくれないんだなと感じていたから。


後になって、どうやら私の同級生が、あの女の子がえふちゃんから無理やり髪の毛を抜いたのだとかなんかそんなことを伝えてくれたらしく、帰り際に先生が「大丈夫?頭見せてみて」と駆け寄ってきてくれたけど、ちょっと患部を見て「血も出てないし大丈夫ね」と言って終わりました。そんなに軽い話なの?と思ったけど、私が記憶しているより実際は少量の髪の毛しか抜かれなかったのかもしれません。


その時は、怖かったという気持ちでいっぱいで、それ以降2度とその女の子には関わらなかったと思います。

きっと私はあの時、先生に(誰でもいいから大人に)、あの女の子をきちんと叱ってほしかった

彼女の持つ障害がどんなものか、当時も今も理解はしていないけど
叱ることが彼女にとっては良くないことなのか、どのくらい理解するのかしないのか、そんなのは知ったことではない。

人のバッグを引っ張って奪おうとするのは悪いこと

突然人の髪の毛を引っ張るのは悪いこと


それを、ちゃんと、その場で見ていた子たちの前で、叱ってほしかった。

間違ってもその子を晒し者にしたいわけではありません。

でも、私や、その場にいた子たちのために叱ってほしかった。


それがなかなか難しいことだということも、大人になった今ならわかるのですが。



最初にバッグを引っ張られている下級生の子を見て見ぬふりすればよかったのか、声なんかかけずにすぐ先生を呼びに行けばよかったのか。正解があったのか未だによくわからないけれど、いまでも髪の毛の抜けていくブチブチという音は忘れないし、あの時の怖さ悔しさが混ざったような気持ちは一生忘れないと思います。


今日は、ここまで。
これといったオチもない、しんどい話を読んでくれてありがとうございました。

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