スポンサーリンク

治療がこわくなってしまった話(後編)

スポンサーリンク

前編もあります。後編はちょっと長め。

採血も注射も点滴も避け続け、地方に住んでいた私は、大学を卒業してから首都に出ます。
定期通院の必要もなくなったので(ほんとは必要ないなんてことは無いんですが)かかりつけの病院も作らず。
ちょっとした風邪で近所のお医者さんに行く程度で済んでいましたが、20代半ばから不整脈を起こすようになります。
不整脈については細かく別で記事書きますね。
心臓がバクバクするやつなんですけど。

何年かに1度、突然起こっていたので
仕事の帰りにバクバクしたら電車を降りて最寄りの病院を調べて行ったり
家でバクバクしたら一番近くの大きめの病院に行ったり
意識もあって、自分で話せるので、事情を話して発作を止める処置をしてもらう。という感じで、その時は4年ぶり3回目の発作でした。

やっぱり点滴が一番早いんです。
ただ、それはこわいので一先ず飲み薬で様子を見てもらう。
脈をゆっくりにする薬なんですけど、がっつり発作出ちゃってるからなかなか効かないんですよ。
同じ成分を点滴で静脈から入れてもらった方が圧倒的に早い。でもこわい。でも不整脈しんどい。
この葛藤の中でこわさにしんどさが勝ったので先生を呼んで、
「たぶん泣くと思いますけど、点滴刺してください!あの、点滴してほしいという気持ちはとてもあるんですが、身体が言うこと聞かないんです…💦」
あまりに不安で、苦しいくせにごちゃごちゃ喋ってしまって、その間に点滴を刺してもらいました。


実際はそんなにスムーズな話ではなく、泣いて上手く喋れなくなって、看護師さん何名かに動かないように身体を支えてもらって点滴をされ、そのまま過呼吸を起こしていました
看護師さんや先生がたくさん集まってきて、何か話しかけられるけど、答えられない。
点滴を入れたら楽になっていくはずなのに、全然効かない。それどころかどんどん息苦しくなってくる。どうしよう。周りの人たちがみんな困った顔をしてる。どうしよう。
「ゆっくり呼吸してみてください。」
わかってるけど、できない。どうしよう。ごめんなさい。
「神経が興奮してるから薬も効かないよ。」
私が悪いんだ。ごめんなさい。落ち着かなきゃ。
「様子見ましょうか。」
「ここはあれなんで、あっちの部屋に…」
夜間だったので救急外来で処置してもらっていました。きっと救急車など次々患者さんが来るんでしょう。

別の部屋に移してもらってからも、一向に苦しさは変わりません。時々看護師さんがカーテン覗いては「まだ。」って言ってる。
とにかく不安で、このまま死ぬのかと思った。とにかく早く楽にしてほしかった。なんでこういう時は気絶しないんだ。苦しい。助けてって思い続けてたら、カーテンの向こうから看護師さんの話す声が聞こえた。
「まだ変わらないの?」
「もう1時間ぐらい経つよ。ずっと過呼吸なの?」
「このままここに居られてもねぇ」

不整脈じゃなかったの?これ過呼吸なの?
どうしよう。迷惑かけてるんだ。どうしよう。苦しい。

起き上がって前かがみに座ってみたら、少し呼吸がしやすくなりました。
これならもう歩けそう。とにかく早くここを出ないと。迷惑になるから。
看護師さんに治まったので帰れるという旨を伝えたら、先生が来てくれました。

「えふさんは、心疾患以外に精神疾患も持ってるの?」
…え?
「分からないかな。精神科の受診をお勧めしますよ。」
…あ、はい。
これでは治療できないからね。
…すみません。

先生が言ってたことの何割かは聞き漏らしてしまったと思う。
事務的な会話のテンポと、声のトーンは覚えてる。
その時はとにかく、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
自分が悪いから、自分に悪いところがあるから、治療してもらえないんだ。私の精神になにか問題があるんだ。どうしよう、という気持ちでいっぱいになって帰りました。
後から分かったことですが、この出来事が私の過去のトラウマのようなものの扉を完全に開けてしまうきっかけになったと思います。

間のエピソードいろいろすっ飛ばしますが、その後私はいくつかの病院に行きます。
どこでも同じような対応か、それ以下でした。もちろん、医師はサービス業ではないので。優しくしてくれなかった、と怒っているわけではありません。
だけど、不安感はどんどん膨らみ、待合室の椅子で座っているだけで手が震えたりお腹が痛くなったりしました。
精神科も受診しました。
『ある種の先端恐怖症(もっと特殊な名前だったけど忘れた)』
『医療行為恐怖症』
みたいなぼんやりした名前をいくつか言われたけど、幼少期の心臓治療の影響からくる一種のPTSDでしょう。ということで落ち着いた。
「えふさんが悪いわけじゃない。なりたくてなってないんだから、謝る必要は全くない。」と言われて、大泣きしました。
私が悪いわけじゃなかったんだ…

PTSDについて勉強しなきゃ、と思っている矢先、手術適応であるという話もされます。

は?
採血も出来ないって言ってんのに、展開が早すぎる。



だけど、私は来月手術を受けます。
どうして治療してもらえるようになったのか、詳しくはまた別の機会で。

未分類
fをフォローする
スポンサーリンク
えふブログ〖先天性心疾患者のとりとめのない生活〗

コメント

タイトルとURLをコピーしました