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「結婚や妊娠についてどう考えていますか?」

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※読んでくださってありがとうございます。くれぐれも誤解しないでいただきたいのは、先天性の心臓疾患のある人がみんなそうだ。ということを言いたいわけではありません。これは私の症状その他諸々があっての話なので、勝手に「自分もそうなのかも」と思わないでください。ご自身のことは必ず医師にご確認ください。


過去に私は、結婚や妊娠について迷っているという内容のどちらにもなれない私という記事を書きました。



手術から1年が経ち、経過も少しずつ変化がなくなってきて、また改めて医師から同じ質問をされました。


「将来について、どう?
 結婚や妊娠について、どう考えてますか?」


この答えによっては、今後担当医を変えたり転院の可能性もあったり、ひとまず現段階の考えで良いので、もう一度考えて答えを聞かせてほしいということでした。


弁置換の手術の際に、私は生体弁を選択しました。
妊娠の予定(正確には希望と言うのかな)があったわけではありませんが
生体弁が劣化して機械弁に変わる頃が身体的にも妊娠を諦める頃と重なるのであれば、それまでの期間「可能性」を残しておきたい
という思いがあったのは本当で
だけど実際に手術を受けてみると、想定以上に手術の侵襲が大きく、術後の私は完全に心が折れていました。

出産も(侵襲は)手術くらいあるのであれば、こんな思いはもう二度としたくない。
というか次はいよいよ身体がもたないかもしれない。
きっと無理だと言われるに違いない。



ところが現在のデータの上では、私は徹底した病院の管理のもとであれば妊娠が可能な心臓なんだそうです。


それを言われても、手放しで喜べませんでした。


だから「諦めなくてもいいよ」という先生に

「私はそうは思っていません。」

と返しました。



病院で徹底的な管理のもとに行う妊娠と出産てどんな感じなんだろう。




例えば本当に出産できたとして、産めば終わりではない。
問題はその先です。

産んでから、どうするんだろう。
どうやって育てるんだろう。

そのあと私には次の手術だってあるのに。出産することで手術の時期が早まってしまったり、(手術に耐える為の)余力が減ってしまう可能性はないんだろうか。
術後、自分一人を生かすだけであんなに大変だったのに、子供のお世話なんかできるのだろうか。

それに、もしも生まれた子どもが障害を持っていたら。

障害にも様々なものがありますが、例えば自分と同じような身体の赤ちゃんをもったとして、私は私の母親にしてもらったようなことをしてあげられないと思う。
咄嗟に抱きかかえて走ることができない。普通なら持ち運べる医療的ケアの道具も、私には持てないものがあるだろう。子どもの具合が悪い時に、自分も具合が悪くなったらどうするんだろう。今だって、自分が入院する荷物すら人に運んでもらわないといけないのに。

「そんなの産んでみるまで分からないし、出来てる人も沢山いるじゃん」
とは思えない。

健康な子を授かっても、健康な人間がどれくらい動けるのか分からない。ひとりでも走れない自分がどうやって面倒見たらいいんだろう。


どんなことにおいても「きっとどうにかできる」と思える人は、本当にどうにかできてしまうものだと思っていて
私だってこれまでの人生において、心臓そっちのけで「きっとどうにかできる」という気持ちで突っ走ってきたことはいくらでもありました。
案外どうにかなるもので、結果としてそれが心臓にとって良かったか悪かったか分からないけど、とにかくいま生きているので間違ってなかったんだと思います。

出産だって育児だって「きっとどうにかできる」と思えば、どうにだってできるのかもしれません。
実際にはパートナーや親に助けてもらったりもしながら、何とかしていくしかないんだから。


それでもはっきり決めきれないことが、答えなんだと思いました。



私はずっと、リスクを背負ってでも子どもを望む決心がつかないのではなくて、子どもを望まない人生を歩む決心がつかなかったのだと思います。

病気に関係なく仕事と家庭のどちらを選ぶかで悩んでいる友人は少なくありません。
身体はひとつしかないのに、妊娠に適した年齢は働き盛りでもあるし、周囲はいろんなことを言うけど、理想とするものは人によって違うから正解は無いはずです。

私の場合はそこに〘心臓〙が入っているから
〘仕事〙か〘子ども〙か〘長く生きること〙か、どれかを選ばなくてはいけないらしい。
できれば、どれかひとつ。





出産できると言われたことは嬉しかったけど、全てを諦めてそこに向かう覚悟は今の自分にはありません。
ずるい考えだけど、いっそ「無理です」と言ってくれたらよかったのに。
そうしたら、全部心臓のせいに出来るから。難しいことは考えなくていいし、私は何も悪くないと思っていられるから。


でもそうじゃなく。もう大人だから。自分のことは自分で決めないといけない。
自分で決める機会を得られただけでも、すごく貴重なことだと思う。

だから私は自分の意思で、子どもを望まないことに決めました
その代わりにやりたいことが沢山あるから。
私は生きたい。

一度区切ってしまうことで、何となくどの方向に進むべきかも以前より見えるようになりました。



もちろんこの先、自分の考え方が180°変わってしまうような出会いもあるのかもしれません。

だからあくまでも先生達の移動時期に合わせた、現段階の気持ちです。




今日は、ここまで。

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