5歳の時、私は足りていない僧帽弁を、周りの細胞を切ったり縫ったりして作ってもらいました。弁形成術という方法です。
そして25年ぶりに、その時作った僧帽弁を人工弁に付け替える、弁置換術を受けることになります。
それに伴い、私はふたつの選択肢を与えられました。
① 生体弁
これは、牛や豚の組織から加工して作られる動物由来の人工弁。生き物の組織から作られているから体内に入れても拒絶反応が起こらない。(起こりにくい)
耐久性の面で少し難あり。一般的には10~15年くらいで痛んでくるため、再手術でまた取り換える必要がある。(私の場合は7年くらいで劣化するだろうと言われています)
感染症に強く、術後しばらくしたらワーファリンを服用しなくてよくなるので妊娠も可能。
② 機械弁
これは、カーボン製の人工弁。(ドラマ下町ロケットでもやってた)
耐久性が強い反面、機械弁の構造上血栓が出来る可能性が高いためワーファリンを一生服用しなければならない。ワーファリンは胎児に影響を与えるため、妊娠は禁忌。
心臓の拍動に合わせて機械弁の弁葉が閉じるカチカチという音が聞こえる。
※ワーファリン…抗血液凝固剤。服用中、納豆は絶対食べちゃダメ(薬の作用を消してしまうから)、その他に青汁やクロレラなども摂取禁止
一般的に、若い人は機械弁を、高齢者には生体弁を薦めることが多いのですが
やはり女性の場合、妊娠を希望するのであれば生体弁を選ぶ必要があります。
私は今の身体では、そもそも妊娠や出産に心臓が耐えられないと言われてきました。だけどこのタイミングで生体弁を入れたら、出産も可能かもしれないんだそうです。
ただねぇ…妊娠て一人で出来ることではないからね。
とはいえ今パートナーが居ないからと言って機械弁にして、この人の子供が欲しいと思える人に37歳以前に出会ってしまったら、私はきっと「なんで生体弁にしなかったんだ」って猛烈に後悔すると思う…。でも出会わなかったら?妊娠が出来るかどうかは心臓だけの問題ではないし、相手がいたって恵まれない場合も当たり前にある。
もしも授かったとして再手術のタイミングと育児と両立できるの?いやいや、何も始まってないのに選択肢全部捨てるの?
一度は諦めたはずなのに、気持ちが揺れに揺れます。
選択肢といえば聞こえはいいが、同時にリスクもついてくる。
どちらの方が私の心臓がよりまともになるのかを教えてほしい…。
どちらを選んでも完治するわけじゃなくて、さらにその先の手術を見越して考えないといけない。
どっちも嫌よ。手術なんか嫌だ。イヤイヤ期に突入する30歳の秋。
執刀医が決まったころ、まだ自分の心筋組織が使えるかもしれない。という話をされました。
再度弁形成術ができれば、自分の細胞だからワーファリンを飲み続ける必要はないし、出産も出来るかもしれない。耐久性は正確には分からないけど、前回が25年もったから、生体弁を入れるよりは長く使えるだろうと仮定している。まさに希望の光。
ただし、出来るかどうかは開胸してみるまで分からない。可能性としては5割以下。
可能であれば再度弁形成を行うけど、どちらかの人工弁はいつでも入れるような準備をして手術に挑みます、とのこと。
結局選ばなきゃいけないのか。
もともと、5歳の手術の時も人工弁を入れる予定だったそうです。
それが、当時の執刀医がすごくうまいこと弁を形成してくれたようで、どこをどんな風に切ったり縫ったりしてるのか、とても複雑だと今の病院で言われました。
そもそもの心臓の形が違うので、人工弁を入れるにしても、既製品をそのまま使えるわけではなく、手を加えて整えなきゃいけないみたいで、とにかくややこしいんだそうです。
執刀医は「姿の見えない敵と対峙しているみたいです」と表現していた。
そんなもんが身体の中にあるの、こわいんだけど。
どの弁にするか、手術前日まで悩ませてくれるそうです。
「きちんと勉強して、存分に悩んでください」と言われました。
さて、私がどちらを選んだのか、ここには書かないでおきますね。
術後のお楽しみということで。
※2019年、置換手術を受けました。どの弁にしたのか、結果どうなったのかは追って記事にしていますので、ご興味があればそちらもどうぞ
〘どちらの弁を選んだかの記事〙〘どんな手術を受けたかの記事〙
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