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☆術後の身体の変化について

心臓の話
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2019年11月、三尖弁形成僧帽弁置換(生体弁)のための開胸手術を受けました。

検査の段階から、そこそこ大きな手術になることは予想されており、術後の自分の体にどんな変化があるのかとても不安に思っていました。現在手術を控え、同じように不安に思っている方の予備情報のひとつになれば幸いです。
※実際に手術は18時間程度かかり、直後の経過も悪かったので、あまり参考にはならないかもしれません。術後の経過は人それぞれにペースが違うので、一般的な話ではなく私の場合 どんな感じだったのかという話。


術後1か月特に慎重に生活したほうが良いという期間です。
入院中より自由に動けるようになったせいで、かえって体の(主に胸部の)痛みがはっきり分かります。まだ筋力も十分ではないので、ものを持つと手が震えたり、何をしてもすぐ疲れたり。一日があっという間だった気がします。
家の中で移動する分には不便は感じませんが、歩くとすぐに息が切れました。これも心機能の増悪ではなく、筋力不足が原因ということでした。(心臓自体も筋肉なので)
それから、やたらと気持ちが落ち込みました。外科的治療は身体に相当なストレスを与えています。ホルモンのバランスも乱れまくって当然なので、生理周期も乱れました。
休職している間にたくさん本を読んだり映画を見たりしよう。と思っていたものの、何も頭に入らずやる気も起きない日が多く、ただぼーっと過ごしていた日が多いです。後になって分かりましたが、おそらく「術後うつだったと思います。
* 外科手術によって侵襲を受けた細胞が炎症を起こし鬱を発症させること。
 『「うつ」は炎症で起きる』 エドワード・ブルモア 著
 という本もあるみたい。気になる方は調べてみてね。

心臓疾患の手術後もうつ発症のリスクが高い。米デューク大学医療センター精神科の研究チームは、心筋梗塞患者の45%が3~4か月後に抑うつ状態に陥り、うち18%はうつ病を発症したとの調査報告を発表した。

https://www.news-postseven.com/archives/20190904_1443783.html/2


術後3か月頃、一般的にはだいたい骨がくっつくとか傷が落ち着くとか、身体が安定して薬の量が減るとか、職場復帰の許可が出るとか言われています。(状態によってもっと早く職場や学校に復帰する人はいる)
私の場合は手術による侵襲が大きかったこともあり、術後半年頃から薬の調整や職場復帰を考えましょうか、ということになっていました。
この頃には、寝返り時の痛み骨と皮膚のずれるような違和感がなくなり、くしゃみや咳をするときの胸部の痛みも軽減されました。
心エコー検査では、ef値(筋肉の収縮率)が39%から56%に改善されていましたが、まだ5000歩ほど歩くと疲れてしまう程度の体力でした。


術後5か月経って、やっと胸の切開部と腹部のドレーンの瘡蓋かさぶたが全て取れました。
首の周りにある点滴の跡は少しずつ薄くなりますが、痣のようになってからが長かったです。位置やサイズ的にはまるでキスマーク…。見栄えが良いものではないのでずっとハイネックの洋服で隠していました。医師からは「これ以上薄くなることは無いと思うので、あまりにも気になるようであれば形成治療で消すこともできる」と提案されますが、また手術をするときには同じ場所に点滴入れるんだろうし。と思ってそのまま生活していたら、1年ほど経つ頃には全く分からないくらいまで治りました。よかった。

術後の人工呼吸器挿管が長かったので、まず発声するまでに時間がかかり、このあたりまでの半年程度は声を張ると掠れたり、通常の会話時も明らかに自分の声が低くなった実感がありました。(人に会うとほぼ100%「風邪?」「声どうしたの?」と言われるほど。)
外来のたびに担当医も声に違和感を感じていましたが、会話に困るほど発声に問題があるわけではなく、声帯の腫れは見られるけど時期的に感染症にかかりやすくなる可能性のあるステロイド治療はおすすめしないと言われ、そのまま放置していました。
その後(術後10か月ほど)声の掠れは気にならなくなり、声量も増えてきたと実感するようになりました。だんだんと自分でも元の声を忘れていくし、いまは特別不自由を感じることはありません。
ただやっぱり仕事柄(接客業)、お客さまから「その声どうしたの?」といちいち聞かれるのは辛かったので、コロナ禍でなければもっと早い段階でステロイドを使ってもらっていただろうなって思います。

それからこの辺りで不眠に悩まされるようになります。心臓には睡眠が非常に大切で、薬の力を借りてでも眠ったほうが良いという医師の助言に従い 、メンタルクリニックで睡眠導入剤を処方してもらうなどして対応しました。可能性でしかないのですが、やはりこれも大きな手術で受けたストレスが原因であろうという感じ。これは1~2か月で改善しました。


術後7か月頃の心エコーで、手術で塞いだ箇所(心内)が開いてしまっているという衝撃的な話を聞きますが、現状維持です。正直未だによく理解していません。でも日常生活において目に見える体調の変化があったわけではないので大丈夫なんだと思います。
不便なのはそのせいで生体弁なのにワーファリンを服用し続けなければいけないことくらい。
(詳しくはこちらの記事〖手術から7か月経ってみて〗 を。)

術後7~8か月頃仕事に復帰しました。最初はアルバイトと同じように時短で、体を見ながらフルタイムに。
筋力も戻ってきて元の生活に近づいた頃、抜け毛の増加便秘に悩まされるようになりました。全て術後にはよく見られる症状らしく、根本の原因は心機能の弱さ(血液循環の弱さ)です。
担当医によれば、心臓の手術の後は抜け毛が増えるという定型は無いけど、先天性の心疾患があると毛が抜けやすいらしいです。それから、利尿剤を使って体内(臓器内)の水分をカラカラの状態にしているので、便秘になりやすく、どちらも想定内の症状なので心配することは無く
投薬(便秘薬)や食事の見直し(腸活)など、時間をかけて体質の改善をしている最中です。

心臓本体の話で言うと、心臓手術後はしばらく不整脈が出ることが多いのですが、一時的なものなので大抵は心筋の回復と共に治まると言われています。しかし、私の場合は心臓そのものが弱っていたこともあり、後遺症という言い方で正しいのか分かりませんが、日常的に不整脈が残ってしまいました。この不整脈には決まった発信源が無いためアブレーションで焼いてもあまり効果が無いのだそうで、放置しても問題ない種類のもの(致死性ではない)なので、今は薬で脈を抑えつつ付き合っていくことになっています。


術後1年が経つと、ほぼ普段通りの生活をすることが出来、自分のペースを守っていれば1日1万歩以上歩いても翌日に疲れは残りません。入院中のリハビリでは歩行器にしがみ付いて立つのがやっとだったのに、ヒールの高い靴でも当たり前に歩けるくらいの筋力を取り戻しました。

手術の傷は少しずつ色味が落ち着いてきていますが、部分的に色素が沈着してしまった所もあります。繰り返し開胸手術を受けたことで、その場所の皮膚や骨が弱くなってしまっているらしく、寒い日や生理の前にはうずくような痛みを感じることがあります。動作で言うと、背伸びやくしゃみ、寝返りをうつときには胸を庇いながらでないと痛むことがあり、今もうつ伏せになることは出来ません。

手術から2~3年は、まだまだ身体が変わっていく期間(人工弁が体に馴染むにも時間がかかる)らしく、「自分の体なのによく分からない・今までと違う」と思うことがあって当たり前なんだそうです。



以前と変わったことと言えば、生活の中で、しゃがんだ姿勢から立ち上がったり、椅子から立ち上がったりする際にめまいを感じるようになりました。これは手術のせいではなく、年齢によるもの(慢性心不全の影響)が大きいと思いますが。
あと、よく寝るようになった。小さなころから寝つきは悪く、どちらかと言えばショートスリーパーだったのですが、退院以降(不眠が治って以来)一日の睡眠時間が延びました。疲れやすくなったとか、昼間もうとうとしてしまうということではないのですが、しっかり睡眠を取らないと日中不整脈が出やすいです。
これらのせいで生活のリズムや行動範囲が変わり、少し早く歳をとってしまったような感じはあります。

それから、これは内面の話で確かめようのないことなのですが
「大きな手術や輸血で性格が変わってしまう」という都市伝説のような話があって、私がそうなのかは分かりませんが、手術を受ける前と後ではものの見方や考え方は大きく変わりました。
20代から30代へ変化していく成長過程の中に、たまたま手術があっただけなのかもしれないけど。

そのあたりのことは長くなるので割愛します。



この1年のまとめでした。


おしまい。



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