スポンサーリンク

もしもの世界と思い出話

世間話
スポンサーリンク




朝起きて、体重を計って、血圧と心拍を計って、とりあえずちょっと何か食べて薬飲む。ここまでで1セット。モーニングルーティンというやつですか。

頭が目覚めてなくて飲み忘れたときは、尿意の少なさで気付きます。


やっぱり、1番厄介なのは利尿剤だと思う。個人的に1番飲みたくないと言った方が正しいかも。1番効果が分かりやすいという意味なんですけど。
少しずつ薬の量が増えていく中で、強心剤も降圧剤も、言わなきゃ飲んでることがバレない。抗血液凝固剤は、うっかり鼻血や怪我した場合は大変だけど、基本的には歯科治療や採血時なんかに必要があれば申告するだけだし、禁止食材があれば食べなければいい。だけど利尿剤は、尿意に関係するから、どうしても生活自体を変えなくてはいけませんでした。

私は先天性ですが、10年以上全く何の薬も必要なかった期間があります。
その期間がだいたい、高校生から社会人になってしばらく。

その体調絶好調期、私は、少し人前に出ることをしていました。
カウンターの中でお酒を作る仕事と並行して、舞台でお芝居をしたり、映像作品にちょこっと映してもらったりする仕事です。(芸能の仕事をしていたというのはおこがましいくらい売れてない/笑)

なんとか誤魔化し誤魔化しやっていたけど、利尿剤を毎日飲まなければいけなくなってからは、誤魔化しが効かなくなりました。
撮影や稽古の最中、もちろんお手洗いに行けないわけではありません。ですが、利尿剤の尿意は普通のそれとは違うし、日によって効きにムラもある。毎日飲む時間をずらしたり、トイレを減らすために水分を摂らないというわけにもいかない。


ここまで書かなくても気付いていたけど、その世界を離れたのは利尿剤のせいだけではないです。
そもそも、飲まないとすぐに浮腫んでしまうくらい心不全が慢性化しているということだから、体力の限界と言うのか。力士だったらとっくに引退。
もちろん全く売れてなかったし(2回目)、「そろそろ辞めた方がいいんじゃない?」と言われる前に、自分から辞めますって言いたかった。


もしも心臓が悪くなってなかったら、今も続けていたかなぁとよぎることがありますが、そもそも私が演劇に興味を持ったのは、学生時代にスポーツを禁止されていたから仕方なく友達にくっついて演劇部に入ったことがきっかけでした。


もう、とてつもなく楽しかった。
どうしてもみんなと同じ基礎トレーニングメニュー(筋トレとか)はこなせなかったけど、学生のやる演劇はホールの広さ(つまり舞台の広さ)にも限りがあるし、舞台に上がってしまえば運動制限があることなんてほとんどバレなかった。私はあっという間にはまりました。



たまたま制服に一目ぼれして受験した高校は、当時県内で一番強い演劇部があったので、大会に出たり招待公演で他県に遠征したり、まさに私の青春でした。
学校で1番上手いとか、地域で1番上手いとか、そんなのは部活動レベルの話であって、当然プロの世界では全く通用しません。それでも、いつか自分の意思とは関係なく出来なくなるだろうから、それなら出来るところまでやってみたかった。テレビに出たいとか有名になりたいという気持ちではなくて、大人になってもお芝居をするなら、プロを目指すしかないなっていうような気持ち。
同情されるのも自ら言い訳に使うのも嫌で、「心臓病の子が頑張っている」というような下駄を履かされるのも嫌で、心臓のことは公にはしていませんでした。(仕事上の関係者には報告してましたが)


最近になってやっと母親は、本当はものすごく心配だったことを明かしてくれました。
それでも私が楽しそうだったから、寿命が削られても「やりたいことが無い」人生よりは随分良いと言っていた。矛盾してるけど、私が親だったら止めてたと思う。とにかく感謝。



もしも心臓が悪くなかったら、お芝居の世界に触れなかったかもしれないし、プロになりたいと思わなかったら、上京もしてなかった。日本中に素晴らしい病院は沢山あるから、どんな選択をしていても、何となく楽しく生きていたかもしれないけど、上京してなかったら、今の病院で、今の先生達には出会ってなかった。



もしもの世界なんてない。




隠し続けること、目を背け続けることに全力を投じてきたので、これからはきちんと勉強して向き合っていく時なんだなと、区切りをつけました。
いろいろと、もっと器用に両立出来たらいいんだけど、どうにも上手に出来なくて。
いまは顔も名前も伏せてるくせに、自分の疾患のことはペラペラ書いています。



変ですね。

薬は飲み忘れないようにしようと思いました。


今日も読んでくれてありがとうございました。

おしまい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました